サンドブラストで使うメディアの解説
電脳工房
お客さまとのやりとりで、「電脳工房で販売しているガラスビーズも、やはり強化ガラスなのですか?」そんな質問を受け、即座に主原料はソーダ石灰ガラスですと答えました。
ガラスビーズに限らず、メディアには色々な種類やグレードがありますが、弊社取り扱いのガラスビーズは、工業用途・企業生産向けに製造されているもので、品質的にも最上級で、粒度・硬度共にご満足いただけ物です。逆を言えばメーカーの看板を背負い、威信を賭けて製造し、それぞれの用途で十二分な性能を発揮すべく性能を持った製品です。
さて、質問をお寄せ下さったお客さま、話しを続けると、どこかのメディアを販売している業者が強化ガラスを材料にしたガラスビーズを特注しているとのこと。強化ガラスといえばいかにも硬度に優れているように思われがちですが、車のフロントガラスが衝撃でボロボロに破砕されることが示すように、表面の圧縮層を超えるような衝撃が加わると、一瞬にして破砕されてしまいます。
ガラスを球体にすることで衝撃に強く、安定したメディアになり、ガラス自体が持つ水・薬品による影響が無く、ブラストにより生じる熱の硬度変化も少ないことから、ドライからウェットまで様々なシーンで活躍をしてくれますが、原材料としてはソーダ石灰ガラスが価格・加工性・特性的に最も適しているとされ、硬度を始めとする良否は、原材料の品質や加工精度の高さに依るところとなります。
※ガラスビーズはソーダ石灰ガラスが主成分だと書きましたが、その他にも低アルカリガラスを主成分にした物もあり、硬度的には若干の向上が見られる一方で、45μ以下の微粒=おおよそ#400よりも細かいメディアしか製造できないという制約があります。
さて、強化ガラスですが、破砕リスクの他にも幾つかの問題点があります。
先にも書きました通り、強化ガラスは表面圧縮により強化して硬度を上げています。そして、一旦圧縮ガラスにした物を破砕すると不規則かつ鋭利な粒子となり、硬度を得るための球体には成り得なくなります。
従いまして、通常のガラスを強化ガラスにするためには、加工の最終工程で行う必要があり、強化ガラスを原材料にしてガラスビーズを製造することは不可能だと言えるのです。
強化ガラスを製造するためには幾つかの方法がありますが、代表的な物を挙げたいと思います。
風冷強化法
ガラスを一定温度まで加熱し、風を当てて均一かつ短時間で冷却することにより密度が高い層を作る。
イオン交換法
カリウム溶液に浸けることにより、ガラスが持つナトリウムと反応させて表面に硬化層を作る。
風冷強化法は、薄板や微粒子では製造ができないことから、必然的にイオン交換法ということになりますが、こういった加工を行う工場は、私が知り得る範囲では存在しません。また、カリウム槽に漬けてその後乾燥させるといったプロセスを考えると、膨大な製造量とそれなりの金額でないと請け負ってくれる所も無いでしょう。普通に考えて専用の工場を一軒建てるレベルです。
もとより、メリットが得られ、技術的に可能なメディアであれば、既にメーカーが製品としてリリースしています。
サンドブラストは、その目的から「省エアー」「強化」「パワーアップ」という言葉が非常に魅力的に感じられますが、100余年もの歴史がある工具での大変革は難しく、多くは操作性やチューニング(整合・最適化)などに依り効率を上げることとなります。例えば数年前から脚光を浴びているウェットブラスターも、基本的には既出のサンドブラスターと原理は同じで、メディアをエアー搬送から水搬送に替えてメリットを引き出しているもの、これも撹拌や吸い上げといった問題点が克服されて(ようやく)世に送り出された物で、性能を発揮するためにはそれなりの装備となり、価格も相応なものになっています。
時折、難しい言葉やそれらしい表現を使ったり、情報の少なさを良いことに、あたかも素晴らしい物のように思わせたりしている物を見掛けることがありますが(サンドブラスト用機器に限ったことではありませんけれど)、それらに惑わされないような知識を得ることが、低コスト・快適運用に繋がりますので、弊社では今後も出来る限りの情報を発信し、お客さまとともにサンドブラスト業界の発展に繋げていきたいと思っております。
また、私どもも不勉強な点が多々有ると思いますし、長年の経験から編み出した工夫や知恵をお持ちの方も沢山いらっしゃると思います。お知恵を拝借したり意見・情報交換ができればと思っております。
強化ガラスを原材料にしたガラスビーズ!?
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通常市販されているメディアの多くはガラスビーズと呼ばれているもので、球体に近く粒度が整っているもの(番手があるもの)ですが、その他にガラスチップやガラス粉といった物もあります。
ガラスチップやガラス粉はガラスを粉砕した物でメディアの角が立っているため、ガラスビーズに比べてより研磨力が高いのですが、その粒度にはばらつき(幅)があり期待する仕上がりに応じて番手を選ぶというわけにはいきません。
弊社で試用したガラス粉は、平均的な仕上がりで比較するとガラスビーズの#80程度、粉というと細かく感じますが、実際はビーズより粗粒子で、そこにガラスビーズが混合されていることもあります。混入しているものはガラスビーズといっても価格から推測するに、粒度が揃っていなかったり混ざってしまった物など、いわゆるB級品をガラス粉と混ぜているのだろうなというのが率直な使用感です。
ガラスチップは見た目にもザラつきが大きく、表面の仕上がり感はアルミナの#60程度で、硬度がないためアルミナよりも遙かに早く粉砕されてしまいます。通常は番手に応じ期待する結果を得るために、アルミナやガラスビーズを使うことをお勧めします。
ガラスビーズといえば、年々ニーズが高まっているウェットブラスターについても関連して記載しておきます。
1) 湿式使用可能なメディアを使用します。
2) ドライ式に比べてウェット式は、水に防錆剤・洗浄剤などを添加することにより付加機能を付けることが容易にできる。
3) その場でパーツの洗浄も行える。
という点が挙げられます。多くはこれを読んでいる方もご存知のことですが、市販機器の中には3)が不備な物もあり、
使用可能なメディアを持ち出さないようにする=ランニングコストや、周囲への衛生的配慮という点に欠けていると言わざるを得ません。
この他に、メディアという視点から最も重要なのが、より微粒子のメディアが使用できるという点が挙げられます。
ドライ式ではメディアをエアーで搬送しますので、粒子が細かく質量が無くなるほどエアーの抵抗に負けてしまい、効果を得にくくなってしまいます。身近な物で例を挙げますと、小麦粉を掴んでそのまま投げても煙幕のように飛散してしまうだけですが、これに水を含ませると団子になり遠方まで飛ばすことができます。
このように、ウェット式は水の質量を活かし、それに馴染ませることで
より細かい粒子のメディアでも施工ができるようになる。これが真骨頂とも言えます。
とりもなおさずこれは、超微粒のメディアを使わなければ、ウェットブラスターの最大の利点を活用していないと言えます。そして、十分な撹拌が為されていないと安定した施工ができません。これらのメディアは細かくなればなるほど粘度が上がったような状態になり、より撹拌し難くなります。
ウェットブラスターの仕上がりとして光沢を期待した時、弊社取扱メーカーでは粗めの#220から#320/#400/#800/
#1200そして
超微粒の#2500まであります。本来はこういった番手の物を使用してようやくウェットブラスターならではの仕上がりを得ることができるもので、#100前後の一般的なメディアを推奨している機器は、撹拌能力に不備があったり、細かい番手の物を使用すると詰まってしまったりといった機器の不具合があるのではないかと、仕様等に目を通しをしっかりと見極めてください。
弊社にも以前、ドライ式のキャビネットをシールし、水漏れを防いだ程度の物をウェットブラスターとして市販されていて、それを購入されたお客さまから改造依頼をいただいたことがありますが、ブラストするもう一方の手で絶えず攪拌し、番手が細かいと全く吸い上げることが出来なくなるといったお粗末な仕様で、通常は下部からポンプで汲み上げ、より高い位置で攪拌を行い、重力式に近い状況で安定したブラストを行う弊社特注品のウェットブラスターをお勧めするところなのですが、ご予算的に無理があり、主装置の移植も形状や耐久性の点で困難なことから断念しました。
趣味でパーツを幾つかという程度でしたら良いのかもしれませんが、
業務用途には全く使えないような物で、同時にこれは、ある程度の作業効率や安定した施工を期待するのであれば、それなりの機材費になってしまうという点と、メディアの価格を考えると導入には費用対効果の見極めも必要になるといった点を考えなければならないと言えます。
参考まで、一般的なガラスビーズと比較して
#800程度で約2.5倍、#2500に至っては約14倍とメディア自体も相当高額になります。市販のウェットブラスターの多くが真水の噴射装置を備えており、これは窓を洗浄をして視界を確保するという以外に、窓や施工物を洗浄して高価なメディアを少しでも逃さないようにするという意図もあると言えます。
余談というか後日談になりますが、ご相談いただいたお客さまの施工物が、小型の物が多かったことから、耐久性という点は度外視しましたが野菜の水切りを改造(と言いましても大した改造ではなく、パーツを固定できるようにして防水にしただけです。)し、微粒のガラスビーズと水を投入してグルグル回す物を試作して進呈したところ、大変喜んでいただきました。
実は弊社では小型の洗濯機のような動作で、水流を利用して磨きを入れる試作機を作り、そのまま実務で長年重宝してきた物がありますが、言うなればその簡易版のような物で、いつかはステンレス製の容器で適切な水流を作り、期待する仕上がりを得られる物が出来上がったらリリースしたいと思っていましたが、他の課題も山積しており、長年の懸案事項になっています。
弊社製品は、最終的な仕様が決まった段階で概ね一年以上の実務使用で検証し、それからのリリースになりますので、最短でも一年後となります。これをご覧になりときめいてしまったお客さまは誠に申し訳けありませんが、悪しからずご了承くださいませ。 ※このような機器は、弊社製品のモニターレポートをお寄せ下さったお客さまなどに打診し、モニター試用やモニター価格での提供・サポートをさせていただいている場合があります。
「ガラス」とつけば何でも同じ??
アルミナは大きく分けてホワイトアルミナと褐色アルミナがあります。
前者はWAと表記されている物が多く、また、通常のWAよりも更に純度や硬度を上げた製品もあります。
前者は褐色アルミナに比べて値段が張りますが、一般的な施工において破砕性などの点では大きな差が見られないことが多く、主として用途などに合わせて使い分けをします。
褐色アルミナは、文字通り茶色っぽい色をしていますので、色移りを懸念される方もいらっしゃいますが、メディアそのものは色が転移する心配は無く、ガラスアート/木の彫刻などをする方が好んで使うのは、教室や体験教室などで色から来る清潔感などに因るところが多く、一方で量産で製作する場合などは褐色アルミナの方が不純物が混じった時の色の変化が大きく、例えば白濁してきた時に集塵能力を疑うなど、コンディションを掴みやすいという場合もあります。
褐色アルミナはAと表記され硬度は12程度(ガーネット10/ダイヤモンド15)と比較的固く、値段もそこそここなれていることから幅広く使われています。
さて、このアルミナ、褐色アルミナは全て同じかといえばそうでもなく、最上級品の多くはは純度96と表示され、表示がない物の多くは純度92かそれ以下で値段はに安くなります.
純度が低いということは、色移りなどの心配も少なからず出てきますが、純度そのものよりも重要なのは硬度です。一概には言えませんが、純度が高い物は硬度も安定していることが多いのですが、同じ純度であっても硬度に欠け破砕耐性に欠けるため再利用率が落ち、粉塵量が増える物も少なくありません。
施工効率を上げ、破砕(粉塵)量を減らし、時間・効率両面から最終的なランニングコストの削減を考えるならば、安心できるメーカー・仕入れ先から入手するのが一番です。
高純度を謳っていても、品質が低いアルミナの中には、初期充填の段階から粉塵が舞い上がる物もあります。
アルミナの種類
さて、実はここからが本題のようなもので、情報として一番得にくい部分だと思います。
サンドブラスター本体を購入した際、その販売店でメディアを置いていなかったり、通販などで本体のみを購入してメディアは別でといったケースは非常に多いと思います。
しかし、実際のところ直圧式サンドブラスターのタンク、キャビネットサイズは何ガロンだとか何リットルという表示があるものの、販売されているメディアはKgで表示されているため、果たしてその容量に対してメディアは何Kg必要なのかといった「体積」での把握は非常にし難くなっています。
一般的に考えて、粒度が荒いとメディア間の隙間が大きくなるため体積が増え、細かいとその逆となりますが、実際には同じメディアであれば容器に入れてトントン叩いて沈ませることをしなければ、驚くほどの差は出ません。経験上メディアの体積はその種類でおおよその感覚でという範囲で十分だと思います。
アルミナ#120の場合1.6kgで約1リットル ガラスビーズ#180の場合1.3kgで約1リットル を目安にしてください。
例えばアルミナの場合
10ガロンタイプは37.85リットル、約60kgで満タンになります。(実用満タンは50〜55kg程度)
10型消火器流用タイプは3.5リットル程度のものが多いので5.6kgで満タンになります。(実用満タンは5kg程度)
です。初めてお使いになる場合、破砕などによるメディアロスに備えて多めにご準備ください。
弊社集塵器を導入し、吸気などに配慮していただいた環境下(詳細は「風をよむ」をご覧ください。)では、メディアロスが極めて少ない状態でクリーニングされていきますので経済的ですが、廃棄する粉塵などの重量と追加分を比較すると思いの外差が大きく、特にタイムレンタル機では顕著です。
エアブローも内部に備えていますが、施工物に付着して脱出してしまった物の積み重ねだと判断できます。これらによるロスもあり、また、コスト面だけでなく衛生面への配慮からも、施工物の出し入れの際にはお気を付けください。
メディアの量
左:弊社取扱メディア
右:同じ純度96の廉価メディア
画像をご覧頂いてもお判りの通り、同じ純度96を表示していても色からして異なります。
廉価メディアを試用してた際、初期投入時の粉塵舞い上がりが多く、粉塵量が増大したことから使用並びに販売には至りませんでした。
厳密な硬度検査や実際のランニングコスト計算はしていませんが、する以前の問題だったとご理解ください。
弊社メディアは品質が高く安定していることから、多くのお客さまにご好評をいただいております。価格表をPDF形式でお送りしますので、お気軽にお問い合せください。
サンドブラスト メディア アルミナ
 
サンドブラストをする際に、まず悩むのがメディアの選定です。
一般的にアルミナとガラスビーズはよく知れ渡っていますが、その他にも硬珪石を破砕した珪砂/サンドペーパーなどにも使われているガーネット/金属精錬時に副産されるスラグを整粒したもの/炭化ケイ素(カーボランダム)/クルミなどの硬い種子/金属製の硬球など様々な種類があります。
以前は金剛砂という名称が一般的でしたが、その定義は曖昧なことが多く、天然由来の硬度がある鉱石全般を示していた傾向にあります。天然のアルミナ鉱物/変成岩や火山岩に由来する物などで、例えばガーネット(ザクロ石)も金剛砂という名称で販売されていることもあります。
現在、アルミナが主流になっているのは、粒度や硬度が安定した物を作りやすく、再利用率が高いことからきています。また、価格の安定も魅力の一つと言えます。
サンドブラスト初心者の方は、値段の安さで飛びついてしまうケースも少なくありませんが、これらは用途や環境による使い分けが必要になります。
環境による使い分け
錆取り/塗装剥離/ラクガキ消しなどを行う場合、メディアの選択肢は非常に広くなります。
ここで一番意識しなくてはならないのが、再利用するか否か、要するにキャビネットや防塵室内で回収し再利用可能な状態で使用するか、屋外などで飛散し消失してしまうことが多いのかといった点です。
後者の場合、より
環境への配慮が必要になり、天然由来の鉱石などを使用し、文字通り土に返りやすいか否か、環境に優しいか否かについて先ず考えましょう。これらに配慮したメディアは数々ありますが、珪砂などが一般的で、その他にも地域ならではのメディア、北海道では従来産業廃棄物となっていたホタテ貝の殻を粉砕して再利用したり、胡桃の産地ではその殻をといった取り組みをしている所もあります。
ただし、施工物が塗料や錆などの場合、それが粉砕された物も周囲に飛散させることになります。本来は本体そのものを回収し、大型の集塵室などに持ち込んで施工を行ったあとで再設置することが理想であり、建築鋼材などは巨大な倉庫のような集塵室に持ち込まれ、防塵服で身を包み、腕で抱えるようなガンでブラストするような業者も存在します。そこまでは無理でも、可能な限りの粉塵・回収対策を行うようにしてください。
硬度による使い分け
一方で、キャビネットや集塵室内で回収し
再利用する際は、目的にもよりますが一般的には硬度が高いアルミナ等を使用することをお勧めします。
錆取りなどの用途として、廉価な珪砂/ガーネット/ガラス粉(ガラスビーズではなく、ガラスを粉砕した物です。)を勧め、
見かけ上の導入コストを安くしてキャビネットやサンドブラスターなど各種機器の導入を促したり、アルミナ等に比べて品質・価格差が広く、利益率を上げやすいことから勧める業者も存在します。
硬度に欠け、通常は使い捨てにするメディアを使い回すということは、幾つかの問題点があります。
1)
一度ブラストすると破砕されて粒度が極端に変わる(細かくなる)ことにより、効率が悪くなり、また、期待した仕上がりにならない場合があります。
2) 破砕されやすいということは
粉塵量が増えるということです。吸上式ではその粉塵までもが循環しますので、粉塵混じりで効率悪くブラストをするような状態になるか、集塵器への負担をどんどん増やしていきます。直圧式では集塵器で回収しきれなかった粉塵がメディア再投入の際に舞い上がり衛生上の観点から決して好ましくありません。当然の如くキャビネット内の視界もより悪くなります。
また、天然由来のメディアを使用していても、廃棄するメディアに不純物が混入し、集塵器にも大量の破砕されたメディアや不純物が回収されることになります。
地域にもよりますが、これらは一般的に埋め立てゴミ(産業廃棄物として持ち込んだ場合も同様です。)となりますので、
環境への配慮という点からはその量をできるだけ抑えることを考えなければなりません。
素材による使い分け
サンドブラストを行う時、何をどうしようとしているのかを意識するだけで、使用するメディア・圧力・番手などが選択しやすくなります。
ガラスアートの場合、ガラスを掘削しますので、ガラスよりも硬度があるメディアを選択します。従いまして、アルミナやホワイトアルミナが一般的になります。
アルミパーツなどのクリーニングは、施工部分を露出させて使う物が多いので、母材へのダメージを極力少なくしなくてはなりません。通常はくすんだ酸化皮膜や酸化部分、俗に言う白錆などの除去になりますので、余程酷い時には微粒子のアルミナで一皮剥き、そうでない場合は最初からガラスビーズで仕上げるのが一般的です。
アルミナなどに比べてガラスビーズの硬度は落ちますが、母材も柔らかいことから圧力を上げての使用は少なく、それに伴い破砕も少なくなります。
錆取りや塗装剥離の場合、錆や塗装を取り除くに足り、母材へのダメージを出来るだけ少ない物を選びます。サンダーやグラインダーに対してサンドブラスターの利点は、細かい部分や奥まった所への施工がし易いということだけでなく、ダメージを出来るだけ与えずに施工でき、また、そのコントロールがし易いという点なども挙げられます。
サンドブラスターのルーツは諸説ありますが、船舶の錆取りや塗装剥離のために開発されたというのが一般的です。これらは頻度も高くその度に削ってしまうと強度・耐用に大きな影響を与えてしまいます。母材を出来るだけ削らずに、それよりも柔らかい錆や塗料を取り除く最適な圧力で施工をすれば、最小限のダメージで施工できます。
メディア選定につきましては前記の環境や施工物の大きさなどにも左右されますが、キャビネット内での使用を前提にすると、ガンコな錆やメーカー塗装などはアルミナでなくては刃が立たないことも多く、効率も異なります。また、母材が金属であることが多いので、後処理=塗装なども意識しなくてはなりません。粒度が安定しやすいという点からも、アルミナが適していると言えます。
サフェーサで下地処理をしたり、ウレタン塗料で厚塗りをしてしまえば差異が無くなってしまいますが、ラッカーなどで薄吹きをした際には違いが出てきます。何よりも、ブラストをすると母材に食い込むメディアがありますが、通常の洗浄ではそれら全てを取り除くことは難しく、特に一般の方は表面にある粉塵などを見掛け上拭き取ったり洗浄するなどし、脱脂をして塗装という程度に留まると思いますが、サンドブラスターが細かい部分や奥まった所への施工がし易いという半面、そういう部位のクリーニングは困難を極めてしまうということになり、多少なり残留する食い込んだメディアがアルミナ(酸化アルミニウム)なのか鉱石なのかという点では、微々たる物になりますし私的な意見になりますが、前者の方が精神衛生上良いです。
これらのことを考えると、自ずと環境や目的に沿ったメディアが選択できると思います。
サンドブラストは
できちゃった♪という事が多い機器で、メディアも対象物を掘削・粉砕するに足る固い粒子であれば大抵目的は叶います。プラスチックのバリを取るのにナイロンビーズを使うのも良い例です。
しかし、機器の選択と同様に、メディアもその効率や仕上がりに大きく影響を及ぼします。見かけの値段に囚われず、再利用性/環境/最終的なランニング・コストなどに目を向け最良の選択をしてください。
意外に少ないメディアの情報